水草

シモツケコウホネ異変

栃木県の下野新聞社から日光市のシモツケコウホネの集団の様子がおかしいと取材を受けました。圃場整備も進み、この春から生育地の水路に導水を始めているようですが、花の開花が例年に比べて極端に少ないようです。しかも、葉の成長も悪いらしい。水温がだ…

オオフサモMyriophyllum aquaticum

オオフサモは南アフリカ原産の沈水から抽水植物です。大正時代にドイツ人が観賞用に持ち込んだものが野生化したものといわれ、現在では日本各地に広がっています。淀川では結構古くから確認されていて、1970年代の河川調査にも出てきています。現在では支流…

ミズアオイMonochoria korsakowii Regel et Maackの幼植物

ミズアオイは現在、大阪府では一部に生育地が残るのみで、ほぼ絶滅に近い状態になっています。かつては淀川の周りの氾濫原や水田、水路には比較的普通にみられたようで、博物館の標本庫にも大阪市内の標本もそれなりに残っています。種子をたくさん作るし、…

ナガエツルノゲイトウAlternanthera philoxeroides

今日の写真は多年生抽水植物のナガエツルノゲイトウ(ヒユ科)です。南米原産の外来水草で1988年に兵庫県で見つかりました。淀川では現在三川合流から下流までベッタリと生えています。特にワンドなど止水環境ではマット状に水面を覆います。ボタンウキクサ…

和歌山県でオオバナミズキンバイLudwigia grandifloraが定着

今日、同僚のNさんに「こんな写真同定の質問がきたんだけど」と見せていただくと、なんとオオバナミズキンバイでした。兵庫県で初めて定着が報告され、侵略的外来水草として注目されていた種です。昼過ぎに、写真を撮影された方が来館されて、話しを聞くと場…

APG体系水草メモ

解説書に水草のリストをつけることになるので、APG分類体系になって科が変更になったものを整理することにしました。以下、簡易リスト。 【デンジソウ目MARSILEALES】 ・アカウキクサ属Azolla(アカウキクサ科Azollaceae→サンショウモ科Salviniaceae)【スイ…

コウホネ属植物の購入

某園芸点からコウホネ属植物を購入しました。流通している植物の遺伝的な多様性も調べるつもりでN. submersaの名前のものを購入したのですが、届いてみるとどう見ても雑種でした。3000円×2株も払ったのに違うとは・・・。まぁ、実際を調べることが重要なので…

Nuphar submersa発注

某園芸店のホームページでN. submersaを購入しました。種が間違っていないか、どの地域の株なのか調べてみようかと思っています。それにしても一株3000円て高いよ。

外来Sagittariaの文献調査

今日はお休みをいただいて、家でSagittariaのrevisionを見ていました。昨日の懇親会で淀川の外来Sagittariaの話になり、いい加減に論文にしないといけないと思ったからです。・・・メインの研究の学会発表の準備もしなければいけませんが・・・。 ところで、…

淀川の植物の分布に関するメモ

某同好会の講演で、気になることを聞き、その後の懇親会でも議論しました。 ・セイタカヨシが広がったのはここ数十年の間ではないか(M先生談) ・イグサは昔から本流の水際前面にはないのではないか(湿地部分には生えている) ・カワヂシャは現在のハビタ…

Nuphar subintegerrimaの分布

今日、ある方からNuphar subintegerrimaの分布について情報をいただいた。曰く、工事などで私が消滅したと思っていた群落は復活してここ数年開花しているとのこと。来年度はsubintegerrimaの調査をする必要があるので、是非、時間をつくって行きたいところで…

まだこの世に存在しない水草2

某大学の偉い先生と話をしていたら、先日このblogに再登場した「大阪でみつけたコウホネ」の解析もしませんか、と言われてしまいました。凍りつきました。でも、ウソであると知っての話でした。よかった、よかった。 エイプリルフールネタってもっと日本の科…

まだこの世に存在しない水草

先日、元ボスから「某研究会の集会で1時間位の講演をして欲しい『日本のコウホネ属』とかでもいいし。最近見つけたという●●●コウホネの話もしてちょうだい。」と依頼を受けました。この「●●●コウホネ」はエイプリルフールネタとして、このblogに書いたもので…

大阪の外来オモダカはナガバオモダカではない

今日はSagittariaの勉強をしました。これまで、近年、淀川中流?域の水路や本流の一部に広がりつつある、外来Sagittariaが「ナガバオモダカS. graminea」であると思っていたのですが、どうも違いそうです。結果として、今日改めて勉強して、Sagittaria grami…

【4月1日エイプリルフール】浮遊性のコウホネ属「ナニワコウホネ」の発見【4月1日エイプリルフール】

スイレン科のコウホネ属は抽水性、浮葉性、沈水性の水草ですが、つい先日、浮遊性のコウホネ属の1種を大阪府内で見つけました。根茎が他の種と比べて退化しており、短い根茎から水中根が多数出ています。また、ヒメコウホネに似た丸い葉で葉柄はほとんどあり…

Azolla filiculoidesとAzolla cristata x filiculoides

大きいのがニシノオオアカウキクサAzolla filiculoides、小さいのがAzolla cristata x filiculoides。万博公園のハス池には2系統生えていました。実は淀川もこんな感じなんだよなぁ。PCRベースで簡単に判別するプライマーセットを誰か作ってくれたらいいのに…

イトタヌキモとクモ

今年の写真コンテストに出そうかと悩んで、ひっこめた作品。 イトタヌキモ(タヌキモ科)の花が二つ向かい合って咲いているので何でかと思って見てみるとクモ(種類を聞くの忘れた)の糸で絡み合っていました。クモがイトタヌキモの仲人のようで、面白くて撮…

大阪城のお堀の水草

秋から冬にかけてオオアカウキクサ類が内堀にも大繁殖しているようです。オオカナダモも大繁茂とあって、堀に清掃の船を出そうにも、オオカナダモが絡まって何もできないそうです。公園の担当者の方に状況を説明してもらいつつ、対応策を練るが・・・練れず。

ナガバオモダカ

今日はナガバオモダカの殖芽をひたすら集めました。本題は、殖芽ではなく、花の話。やっぱり、普通に結実していました。ちゃんと報告として書く必要がありますね。ついでに種子の発芽条件をさらっと調べてしまいたいところです。

オニバス調査

間違って現地に来てしまう行事参加者への対応のために午前中は貝塚市水間に出ました。そのまま帰るのもばからしいので、ついでに最近報告があった泉佐野のオニバスの産地へ。痛い思いをしながら標本を採集。

流れ行くボタンウキクサ

鳥飼大橋の周辺からボタンウキクサが帯を作って下流に流れていっていました。ここはきっと水上バイクの波浪が親株と子株を切れやすくしているんだろうなぁ、と思います。 2008年10月12日、鳥飼大橋下にて撮影。

ナガバオモダカ Sagittaria graminea Michx.

今日は、ナガバオモダカに関して調べ物をしました。全部雌花のみで結実しないとする文献と上部には雄花がつくとする文献もあります。で、最近は淀川のナガバオモダカを注目しているのですが、どうやら淀川水系のものは雄花をつけて、果実を作っているようで…

トチカガミ

今日の写真はトチカガミ。行事に集中していて、写真を撮っている暇がありませんでした。 近畿地方ではトチカガミは絶滅が危惧される植物としてリストされています。淀川水系も例外にもれずそうなのですが、今日、城北の何時もの調査地でかなりの数の株が流下…

コウガイモ Vallisneria denseserrulata (Makino) Makino

近縁のセキショウモと比べて、シュートの茎に突起物がありざらざらすること、シュートの先端に冬に殖芽とよばれる越冬器官を作ることが大きく異なります。淀川本流でみられるVallisneriaの仲間はコウガイモ、セキショウモ、ネジレモです。支流では寝屋川水系…

ササバモPotamogeton wrightii Morong

今日の植物はササバモです。淀川本流には結構ササバモをみることができます。・・・が、琵琶湖や琵琶湖疏水までは仲良く一緒に生えているヒロハノエビモやこの2種間の雑種であるオオササエビモは三川合流以下では今のところ確認できていません。出てきてもよ…

オグラノフサモ Myriophyllum oguraense Miki

後輩が研究していて、各地にサンプリングに行ったということもあり、フサモ属にもそれなりの愛着があります。そのなかの一種、オグラノフサモは京都にあった巨椋池が基準産地で、西日本中心に分布していたと考えられていましたが、最近は北は秋田、中国にも…

サイジョウコウホネNuphar ×saijoensis Padgett et Shimoda

サイジョウコウホネといえば、柱頭盤が赤いものを想像します。これは基準産地である西条盆地のサイジョウコウホネがコウホネとベニオグラコウホネ(オグラコウホネの変種で柱頭盤が赤い)の雑種で柱頭盤が赤いことによります。ですが、学名的に言えば、基本…

オニバス Euryale felox Salisb.

今日の写真はオニバスです。食材採集に訪れた池にホテイアオイと共に群生していました。ここのオニバスはうちの標本庫には入っていません。実習生も見ているし、先輩学芸員も見ているし、採らざるをえない状況に。で、根っこから丸々1株を採集して、標本にし…

ボタンウキクサ定期調査

城北ワンドの外側、本流沿いで定点調査。今回は新たに817株流れ着いていました(ここでは毎回、全ての株を除去しています)。一番大きいものは1株直径23cm(開花中)、さらに子株・孫株を合わせると36株もつけていました。先月よりも明らかに大きく、流れ着…

アカウキクサ、オオアカウキクサ

S先生の話では昔は近畿(特に大阪、奈良)はアカウキクサが多かったらしいです。終戦後の爆弾池がアカウキクサで赤くなってたとのこと。また仁徳天皇陵の堀も1960年くらいまではアカウキクサで埋まっていたようです。逆にオオアカウキクサはほとんど見ておら…