学生、研究者の標本作製意欲を高める方法

 今日の午前中は標本を整理していました。大学の教員になってみて、植物標本の整理していて思ったのは、こんなことしている時間があれば、論文を読んだり、書いたり、実験しなければ・・・ということでした。多くの研究者や学生も同じではないかと思います。学術雑誌によっては、証拠標本をしかるべきところに収めて引用しなさい、と励行しているようですが、分類学者以外にちゃんと証拠標本を採集して、標本庫に寄贈しているという話をほとんど聞いたことがありません。ジェネラルコレクションをしている、という研究者なんて私の世代ではほとんどいないと思います。
 これは、多くの研究者や学生にとって標本を作る理由が証拠標本を残すためだけであり、特に必要なければ作らない、ということに起因しているのだと思います。これでは研究者を目指す学生が標本を作れるようになる訳がありません。だって時間があれば論文書いて業績を上げた方が就職に結びつきますし。そういった学生が教員になったら、更に標本を作れない学生が量産され・・・と負のスパイラルに突入することが予想されます(もうそうだと思うけど)。
 ということで、権威ある学会とかで標本作製賞みたいな、その年、もしくはある一定期間で、多数作製したり、博物館に寄贈したり、多くの論文で引用されたりしたような(論文の引用回数みたいなもん)、Goodな標本を作製した人を表彰するようなシステムができないものかなぁ、とふと思いました。
 現在の学会の功労賞みたいなものがこれにあたるのでしょうが、これは一生かけてたくさんの標本をつくってきたマイスターに送られているもので、若手に標本作りを励行させるようには機能していません。就職活動の際に、賞罰の欄に「●●学会標本作製賞(2012年)」なんてかけるようになったら、大学院生はこぞって標本作製に勤しむと思うのです(ほんとか?)。学会ではなくても、各博物館で独自にそういった賞を出してもいいかもしれません。いい状態の標本をたくさん寄贈してもらえるようになるかもしれません。
 何をもってGoodとするかは難しいところですが、あくまでいい標本をたくさん作れる研究者を量産し、様々な証拠標本をちゃんと残していくための一案です。なにかコメントがあればゼヒ。