CITES指定されている樹種の木材や加工物を遺伝的に種同定する

Ogden, R., McGough, N. H., Cowan, S. R., Chua, L., Groves, M., and McEwing, R., 2008. SNP-based method for the genetic identification of ramin Gonystylus spp. timber and products: applied research meeting CITES enforcement needs. Endang. Species Res. 1-7 (open access; doi: 10.3354/esr00141).

 分子マーカーを用いて流通している生物(加工物を含む)の種の同定、産地特定を行うことは、実際の法的な取締りに直結し、また業者の信用にかかわることなので、結果的に採集圧を減らすことが期待できます。しかし、動物(特に象牙、サイの角、クジラ、サメなど)に比べて植物では遺伝的に種や産地を特定する取り組みはあまり進んでいないように思えます(私が)。
 上記の論文はCITESに指定されているGonystylusの話。この属は30種知られていて、そのうち10種において商業用に利用されており、利用量の多さのためCITES(付属書2)指定種になっています。これまで製品の種同定は解剖学的な調査に頼ってきましたが、SNPsを調べて簡単に区別できるイケてる方法を開発したぜ、という報告でした。製品からDNAを抽出して調べる場合、DNAの断片が300塩基以下になってしまうため、SNPsは有効であるとのこと。