メキシコの市場における着生植物の売買

Flores-Palacios, A., and Valencia-Diaz, S., 2007. Local illegal trade reveals unknown diversity and involves a high species richness of wild vascular epiphytes. Biol. Cons. 136: 372-387.

 メキシコにおける着生植物の取引を市場で調査した話。着生植物は熱帯雨林に特徴的で熱帯植生に大きな割合を占めている。森林伐採、伐採による生育地の分断化しているが、不法採取も大きな減少理由となっている。
 着生植物はメキシコの国内法で保護される植物のうち19%を占めるが、不法に取引が行われている。この実態を明らかにした。2001〜2003年にかけて毎週開かれる市場で売られている植物の種、量を調べてみると取引量はラン科植物が種数、量とも多い。売り手に聞き取り調査を行うと、どの売り手も「山取り」がメインであり、栽培しているものは少ない。市場の調査によって(二次的な成果と思われるが)、1)これまで知られていなかった新しい生育地がみつかった種、2)メキシコ初記録の種、絶滅したと思われていた種が残っていた、3)伝統的な祝祭にも不法取引されている種が装飾に用いられている、などもわかった。
 著者らは着生植物を保全をしていくために、1)保護する種を増やす、2)地方市場に監視員を増やす、3)野生集団の維持管理計画を立てる、4)低頻度種は人工増殖を促進させる、5)不法採取の野生集団に与える影響を調査する、の5つを挙げている。
※感想:着生ランについて、記録が少ない種、未記載の種などが売買されている可能性は中国でも同じだと思う。是非、中国でも誰かやってみるといいのではないかと思いました(誰かしているかもしれませんが)。不法採取が実際に野生集団に与えている影響についての報告は、定量的ではないものがほとんどです。具体的にどの程度減っているのか、その種群が減少したことによる生態系の劣化まで踏み込んだデータも必要だと感じました。