ハマツメクサはいつから都市部に広がったのか?

 今日の調査で長居公園に生えているツメクサの仲間はほとんどハマツメクサSagina maxima A. Grayであることがわかりました。ツメクサS. japonica (Sw.) Ohwiは内陸に分布、ハマツメクサは海岸沿いに分布するものと思っていましたが、どうやらハマツメクサは海岸沿いだけではなく都市部に広がっている模様です。Kさんの北河内での観察の報告を読んでから、なんとなく気にはしていましたが、長居公園のものがほとんど(全て?)ハマツメクサだったとは・・・。
 行事のあとに標本庫にこもって真剣に調べてみました。すると大阪市内で一番古いハマツメクサの標本は1959年に靱の道路沿いで採集されたものでした。びっくり。かなり古くから広がっていたのでしょうか。同定しなおすとハマツメクサをツメクサとしている標本が多く(場所で判断しているものが多い)、そもそも大阪市内のツメクサそのものの標本がほとんど(全く?)無くなってしまいました。偉い先生方が採集された標本も結構な割合でハマツメクサがツメクサに同定されていました。うちで1/4くらい間違っていたので、他の標本庫も結構間違ってソーティングされているのではないかなぁ。
 本当にツメクサが減ってハマツメクサが増えているとしたら最近流行の繁殖干渉でしょうか。ツメクサとハマツメクサの分布はプロジェクトUでの注目事項にしてもいいかもしれませんね。
 写真は右がツメクサ(大阪府島本町,May 21, 2007, T. Wada)、左がハマツメクサ(大阪市西区靱,May 13, 1959, K. Seto)の種子。マス目は1mm。ツメクサは種子表面に円柱状の突起があります。ハマツメクサは粒状の突起はあるものの、ツメクサほどははっきりしていません。色も気持ちツメクサが濃い感じ。