三木コレクションNymphaeaceae標本発見!!

Nuphar-love2006-06-07

 今日の写真はNuphar oguraensis Mikiのタイプ標本(5枚のSyntypeのうちの1枚)です。挟んである新聞紙には「Lake Ogura July 3 1926」と書いてあるのが読めます。これは、多くの研究者によって行方不明になったのではないか、といわれていた標本です。なんと、今日は標本庫で行方不明になっていた三木茂寄贈のNymphaeaceae標本を発見してしまいました。かなり嬉しいです。


 三木先生は「山城水草誌」(三木,1937)をまとめた日本における水草研究の先駆者です。その後、植物遺体の方に研究を展開されていったのですが、初期に採集された水草標本は多くのタイプ標本を含むだけではなく、京都の巨椋池のようなもう現在ではなくなってしまっている湖沼の標本なども含み、当時の日本の水湿地環境を示す重要なコレクションとなっています。
 大阪市立自然史博物館には三木先生によって植物遺体標本と現生の水草標本が寄贈されています。しかし、Nymphaeaceae(スイレン科)とZosteraceae(アマモ科)の2科については行方不明になっていました(大阪市立自然史博物館,1978;Padgett et al. 2004)。私の専門はスイレン科のNupharで、三木先生の記載したN. oguraensisのタイプ標本が無くて、非常に苦労していました。

 
 今日は他の学芸員の方と収蔵庫内の現状をチェックして回ったのですが、その時にふと何気なくみたダンボールに「三木茂 寄贈」と書いてあるではないですか!もしかして・・・と思ってダンボールをあけてみるといきなりNuphar shimadai Hayataが目に飛び込んできました。


 あるぢゃないですか!!


 しかも観察用の机の隣に。
 なんで誰も気付かなかったの??
 そんなこんなで、興奮気味にNymphaeaceaeの標本整理を半日潰して進めてしまいました。台湾や北方4島、サハリンの標本もあって、かなり充実したコレクションでした。しかし、いかんせん状態が悪いものが多すぎますねぇ。台紙にマウントしてあるものは貼り方が悪くて特に傷んでいます。うう、早いうちにマウントして整理した方がいいんでしょうねぇ。仕事が増えてしまったけれど、こういう仕事は増えても嬉しいばかりです。
 ただ、Zosteraceaeは今日は見つけることができませんでした。まだ収蔵庫のどこかに眠っているのか・・・??