TurpinによるNuphar japonicaのイラスト

Nuphar-love2006-01-30

 今日の写真はIcon. Sect. Pl.(1823)に載っていたNuphar japonicaのイラストです.Missouri Botanical Garden提供の古書のサイトを暇つぶしに見ていたら見つけました.本文のコピーも載っていて,読んでみると記載に使ったOriginal materialを元にしたイラストらしいです.N. japonica DC.は1821年にDe Candolleによって記載されていますが,タイプが指定されていません.かといってDe CandolleのOriginal Materialを借りるのも大変ということでNeotype指定にも踏み切れず悩んでました.が,これをLectotypeに指定できるので(たぶん)一気に解決です.この雑誌は,京大にしか置いてないようで,普通にしていたら絶対気付きませんでした.
 Webのすばらしさにただただ感動した次第です.そして,標本庫が充実していない,文献がそろっていない,そして研究のノウハウがない大学,研究室のビハインドを感じた1日でもありました.
 ・・・今日は内容がちょっとマニアックすぎたかも.とりあえず,用語説明を載せときます.

  • Type (タイプ): 学名は命名法上のタイプに基づいて用いられます.種または種内分類群の学名のタイプ(Holotype, Lectotype, Neotype)とは,1つの標本庫などに保管されている単一の標本,もしくは1つの図解をさします.
  • Holotype(正基準標本): 命名者が命名法上のタイプとして使用,もしくは指定した1つの標本または図解(記載時期が古いものはしてないものが多いです.困ります)
  • Lectotype(選定基準標本): 原発表でホロタイプ指定がされなかった場合,または所在不明の場合などに原資料Original materialからタイプとして指定された1つの標本または図解.
  • Neotype(新基準標本): 学名が基づいた全ての資料が所在不明の場合に,新しくタイプとして選ばれた1つの標本または図解(これを指定するのは全ての資料に目を通した上での判断になるので,度胸がいります.そして今回は過ちを犯さずにすみました.一安心).