「The Plant List」使えるリストなのか?

 同僚のS学芸員からthe Royal Botanic Gardens, KewとMissouri Botanical Gardenが「The plant list」という、既知の植物種を網羅したワーキングリストを発表したことを教えてもらった。
 HPを見てみると確かにタイトルに「The Plant List: A working list of all plant species」とあり、全種を網羅したことを謳っています。採用されている科はAPGlllに準拠しているようです。早速、スイレン科Nymphaeaceaeをチェックしてみると・・・。ひどい内容です。死んでいる属名がシノニムリストではなく生きている学名として出てきます。Ondineaもありません。Nupharについては、N. subintegerrimaもN. oguraensisもN. japonicaも、なんとN. submersa(命名者は私)すらも有効発表ではないとしてリストにすら挙がっていません。このリストに従えば日本にはネムコウホネN. pumilaしか居ないことになります。N. luteaのシノニムリストにはNelumbo nucifera var. luteaや、Nelumbo nucifera ssp. luteaが挙げてあります。・・・キバナバスじゃん(N. luteaのシノニムではない)。他の水草のグループを見ましたがちょっと普通ではありませんでした。
 グループごとに完成度が違うのかもしれませんが、ワーキングリストとしてもちょっとひどいですね。編集者が誰か科ごとに示す必要があるでしょう。これから改訂作業が続いていくとは思うのですが、使用する際には注意が必要でしょう。私としては異名がたくさん出てくるとしても「The International of Plant Names Index」の方を強くお奨めします。